■第9章・・・・・その他
斎戒と服忌(さいかいとぶっき)
斎戒は潔斎と同じで、「忌」または「物忌」のことである。仏家の「精進」にも通じ精進潔斎などということもある。神事に奉仕する者が心身を清浄にし、禁忌を犯さないようにすることをいい、昔はこの期間が長かったが現在は神社本庁通達で次のようになっている。(昭和四十六年六月)
一、 祭祀に奉仕する者は、大祭、中祭にはその当日及び前日、小祭にはその当日斎戒するものとする。祭祀に参向する者も、亦これに準ずる。
二、 斎戒中は、潔斎して身体を清め、衣服を改め、居室を別にし、飲食を慎み、思念、言語、動作を正しくし、汚辱、不浄に触れてはならない。
三、 斎戒に関し、一社伝来の慣例等がある場合は、これによる。
また、忌服は親族の喪に際し謹慎の意を表す期間で、昔は一年とか五ヶ月とか三月とかなどのように長かったのであるが、神社本庁通達で次ぎのようになっている。(昭和二十三年)
以下神職の場合であるが、氏子崇敬者もこれに準じてよい。
一、 忌の期間は、次の四種に分ち所定の期間これに服する。
(イ)父母、夫、妻、子については 十日
但し、七歳未満の子については 五日
(ロ)祖父母、孫、兄弟姉妹については 五日
(ハ)曾祖父母、曾孫、甥姪、伯叔父母については 二日
(ニ)高祖父母、玄孫、兄弟姉妹の孫、従曾祖父母 一日
二、配偶者の親族の忌の期間については、総べて所定の期間を一項ずつ繰り下げた日数による。但し、七歳未満の子については二日、前項(ニ)については忌に服さない。
三、遠方にあって訃報を受けたときは、受けた日からその残りの日数の忌に服し忌の期間を過ぎた場合は、その当日だけ服する。但し、父母及び夫、妻、子にあっては、受けた日から所定の忌に服する。
四、忌の期間を過ぎて葬儀を行なう場合は、当日だけ忌に服する。
五、忌中は専ら喪事に従うものとする。
六、忌の期間が終わったときは祓を行なう。
七、服はその人の心得に任す。
八、服喪に関し一社伝来の慣例がある場合には、これによるも差支えない。
以上、通達を現代かな遣いに直して紹介したが、地方によっては未だ昔の習わしのままで、五十日経たないとお宮へ行かれないとか、神棚の白紙がとれないとかいっているが、今は前述の忌の期間が過ぎればよいわけである。なお忌中の服装は本人の心得に任されている。